足柄峠は駿河国と相模国の国境の峠である。かつてはここを足柄坂(あしがらさか)と呼び、
ここより東を坂東と称して足柄峠はその入り口であった。この峠を越える道は古代に東海道として整備され、
足柄路(矢倉沢往還)と呼ばれた。富士山の延暦噴火(800年 - 802年)の際には駿河側の足柄路が通れなくなったため
箱根峠を通る街道(箱根路)が整備され、再び通行可能となった後は箱根路と共に東海道の一部を構成する。交通の要衝であるため、
899年に関所が、戦国時代には足柄城が築かれた。
江戸時代になると険しいが距離が短い箱根路が東海道の主要街道として整備され、足柄峠は脇街道となる。
さらに、1889年(明治23年)には足柄峠の北側の酒匂川に沿って県境を越える東海道本線(現・御殿場線)が開通し、
第二次世界大戦後にはこのルートに沿って現在の国道246号や東名高速道路が整備されたため
、静岡県北駿地方と神奈川県足柄地方を結ぶ交通路としての重要性も薄れた。
景勝地として観光客が訪れる。峠の静岡県側は足柄城跡が公園として整備されており、富士山の景色を楽しむことができる。
神奈川県側は足柄峠が万葉集に詠われたことから足柄万葉公園が整備され、相模湾や江ノ島、三浦半島まで眺めることができる。
また、尾根伝いに矢倉岳や金時山までハイキングコースが続いていることから登山者が目立つ。峠付近には足柄山聖天堂(しょうでんどう)や、
茶屋がある。黒澤明の映画『乱』で使われた門が関所として置かれているが、関所の位置や形状は不明である。
(HP ウィキペディア参照)