「きんときざん」は「きんときやま」ともいう。神奈川県南西部、足柄下(あしがらしも)郡箱根(はこね)町の北端にそびえる山。
箱根町、南足柄市、小山(おやま)町(静岡県)の境にあたり、静岡県境をなす。箱根火山の古期外輪山の最高峰で、標高1213メートル。
古くは猪鼻(いのはな)岳とよばれていたが、童話や童謡の主人公「足柄山の金太郎」として名高い坂田公時(きんとき)が山姥(やまうば)と
ここに住んでいたという伝説があり、また公時が奥州征討から帰った源頼光(よりみつ)にその力量を認められた地とも伝えられ、
明治以後、金太郎が小学校教科書にのせられてからは金時山とよばれるようになった。山麓(さんろく)に金時神社があり、5月5日に金時祭が行われる。
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[乙女峠の由来]
仙石原の農家に源蔵という父親と暮らすひとり娘がいました。
名を乙女といい、村一番の器量良しでした。病弱な老父をいたわり、
家事は言うまでもなく、畠仕事にも精を出して働く評判の孝行娘でし
た。乙女が17才になった年、源蔵は持病が進んで寝たきりの日が多く
なりました。。
ある夜のことです。源蔵が寝つかれないまま目を閉じていると、乙女が
そっと家を出て行きます。寒い晩でしたが、数日来体の調子が快方に
向かい起きられるようになっていましたので、思いきって雪の足跡を
たよりに娘の後を追いました。足跡は峠を越してまだ続いています。
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足跡は峠を下って竹の下の地蔵堂の前で止まり、そこから引き返して
いました。堂守りに尋ねたところ以外にも 3ケ月前から毎晩参拝に来る
娘があり、自分の命を縮めてもよいから父の病気を治して下さい。
と一心に祈っていたが今日が丁度100日の満願日になる。と教えて
くれました。 事の一切が判った源蔵は、大急ぎで引き返し娘を抱き
起こしましたが、既に冷たくなっていました。
源蔵は今さらのように自分の浅はかな考えを恥じて泣くばかりでした。
村人も伝えを聞いてこの峠を乙女峠と呼んで霊をなぐさめました。
(箱根ビジターセンター資料引用)